春シーズン、新しい流れの始まりです
2月に入りいよいよ今年の競技会シーズンの幕開けです。私の所属するJBDF西部連盟では2月初めの3日と4日、西部日本ボールルームダンス連盟主催競技大会「スクリブナー杯・レアード杯争奪ダンス選手権大会」などが開催され、多くのエントリーと多くの観客の皆さんにお越しいただきました。
特に2日目のプロ、そしてアマチュアの選手権では、地元西部だけでなく東部や北海道からのエントリーもあり、レベルの高い競技が繰り広げられました。1月に英国やイタリアなどで研鑽を積み、「UK選手権」という世界最高峰の大会を経験したトップダンサーたちは、エネルギーレベルの高いパフォーマンスを披露。観客席からも大きな声援が飛び交っていました。
プロボールルーム優勝は島田寛隆・村松明香組。以下、準優勝は清水太地・早紀組、3位に藤家浩史・繭組。プロラテンでは正谷恒樹・齋藤愛組が優勝に輝き、準優勝に中村公紀・大塩香澄組、3位に鈴木勇人・高辻なつみ組と東部勢が表彰台に登りました。
その翌週の2月11日はJBDF東部連盟主催の「ムーアカップ」が開催され、ここでも他連盟からのエントリーもあって、白熱した戦いになったようです。単科戦のため得意種目での上位入賞が期待されるこの大会は、各種目でファイナルのメンバーが違ってくるという大変興味深い大会となりました。最終的に激戦を制したのは景山雄紀・和田有可組。見事総合優勝を飾りました。2位にはアングル相貴・菊田和嘉子組、3位に日比野湧・山本美希組と続きました。
2月18日には中部連盟で「愛知県大会」、北海道連盟で「全道選手権」が開催されることになっており、各地で今年度の競技会の幕が切って落とされます。
JDCでも2月11日に大阪で「ジャパンカップ in Osaka」が開催されましたが、注目されるのは、日本で開催される国際競技会「アジアオープン」が2月25日に飛天で開催されます。WDOのワールドグランドスラム・ランキングシリーズの一つとあって、世界のトップダンサーたちがこぞってやってくる非常にレベルの高い競技会です。そして、今年はJDC所属の選手だけでなくJBDF、そしてJCFからもトップクラスの選手が出場できるとあって、日本選手同士の戦いにも注目が注がれることでしょう。
組織を超えての大会の開催は、これまでの組織分裂を統合する方向に向かうものとして大いに評価されるものだと思いますし、日本人カップルには世界のトップクラスのダンスに混ざって、大いに気を吐いてもらいたいものです。
そして、その翌週の3月3日・4日は幕張メッセを会場にJBDF主催「スーパージャパンカップ」が開催されます。トッププロによるセグエ選手権、そして全国から集まったプロ、アマ選手による全日本選抜選手権などが行なわれます。さらに3月10日にはJCF主催の「ユニバーサルグランプリ」が開催されます。JBDFの選手も出場できるとあって、大会の盛り上がりを想像するに難くありません。
このように組織の枠を超えた大会の傾向は、今後とも続いていくことでしょう。そしてそれが日本の競技ダンスのレベルの向上に大いに貢献することは疑いようのないことです。日本のダンス界の分裂状態も、そろそろ終わりを告げる時期に来ているのは間違いないでしょう。
これまでの日本のダンス界が発展してきたのは、風営法からの脱却や法人格への移行、国際大会の開催などの活動を続けてきたこと。それらを強力に推し進めてくださった諸先輩方の努力のおかげではありますが、それ故に、発展の方向性や考え方の相違から分裂状態に陥ってしまったことも否めません。
グレートチャンピオンとして君臨されJCFを牽引された毛塚鉄雄先生、そしてザ・ワールドスーパースターズの創始者である毛塚道雄先生が亡くなられたことは非常に残念なことで、今年2月にはJBDF 専務理事も務められた桜本和夫先生がご逝去。この知らせにショックを隠すことができませんでした。日本のダンス界のために尽力された先生方の偉業とその行動力に敬意を表しつつ、改めて心より哀悼の意を申し上げたいと思います。
令和も6年目を迎えました。これからダンス界の新たな発展への気運が高まりつつあります。より良い方向への流れを進める2024年にするためにも、まずはこの春の競技会シーズンの幕開けを、大会の成功という素晴らしい結果に導かれることを期待したいものです。
(月刊ダンスビュウ2024年4月号掲載)