2024年の始まり~UK選手権に向けて
新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。しかし、元旦に能登半島地震という大規模災害が起きてしまい、多くの方が亡くなり、家の倒壊で避難所生活を余儀なくされている方も多くいらっしゃいます。早期に生活状況が改善されますことをお祈り申し上げます。また、翌日には羽田空港で海上保安庁の飛行機と民間の旅客機の衝突炎上事故が起きてしまいました。旅客機の乗員乗客は奇跡的に全員無事避難できましたが、海保機の5名の乗員が犠牲になられたとのこと。お亡くなりになられた方には心よりご冥福をお祈りしたいと思います。
そんな中、ダンス界では1月恒例の「UKダンス選手権」を目指し、世界のトップダンサーたちが英国に集まり、ロンドンの主要なダンススタジオでは選手たちがレッスン、練習で最後の調整に勤しんでいます。大会は1月16日から6日間の開催となり、前半3日間は従来通りのライジングスター戦、オープン戦で競われますが、今年からは後半の3日間、U-21やU-19、ジュニア、シニア、プロアマなどのセクションが新設されました。英国南部の保養地であるボーンマスのインターナショナルセンターを会場に、連日白熱した競技が繰り広げられることでしょう。
今回、UK選手権でU-21やU-19、ジュニアの部門が設定されたこともあって、21歳以下の若い選手たちも多くやってきています。特に目を引くのが、今最も勢いのある中国からの選手たちです。ボールルーム、ラテンともに相当鍛えられているのがよく分かるほど、しっかりとした足腰を持ち、美しいスタイルで本当に勢いよく踊っています。
ポーランドも素晴らしい選手を多く輩出しています。それは国内のマイケル・リー組を筆頭にしたプロのレベルが非常に高く、彼らの元で指導を受けているアマチュア、ジュニア世代の育成がうまくいっているのです。実際、21歳以下のダンサーたちのレベルも非常に高いと思います。また、ウクライナのダンサーたちもよく鍛えられたボディを持ち、ストロングなダンスで存在をアピールしています。残念なことにまだ戦争状態で、隣国ポーランドで活動を続けているのが現状ですが、そのハングリー精神とポーランドでのダンス環境がレベルを上げていっていると言えるかもしれません。
日本だって負けてはいません。日本からは今回、五月女光政・叡佳組や岩崎将之・中山絵里加組などが英国で研鑽を積み、UK選手権に向けて良い調整ができているようです。特に五月女組は1月10日開催の「Star Ball」という競技会のアマオープンでセミファイナルに進出。世界の勢いの中にあっても引けを取らず、いやむしろその勢いを生み出しているかの高いレベルで踊っています。UKではアマオープン、U-21などのセクションに出場するとのことで、日本のトップアマが世界の舞台でどんなダンスを見せてくれるか本当に楽しみです。
日本のプロも今回はかなりの数が英国に集まっています。統一全日本チャンピオンの野村直人・山 かりん組をはじめ、竹内大夢・中島由貴組、正谷恒樹・齋藤愛組らも調整に余念がありません。そしてボールルーム部門は、日本での新チャンピオンの座に影響する大事な大会です。廣島悠仁・石渡ありさ組、福田裕一・エリザベスグレイ組、小林恒路・赤沼美帆組、金野哲也・井之口香織組などパワーアップしたダンスで上位を狙います。
世界中でコロナ規制がなくなり、競技会へのチャレンジがオープンとなった今、UK選手権も6日間に開催期間が延長され、会場の設営や運営面などもかなりショーアップされ、新しい時代にふさわしい雰囲気を醸し出しています。出場する選手の皆さんは、世界の舞台でいっぱいの刺激を肌で感じ、思う存分にUK選手権を楽しんでほしいと思います。
「競技を楽しむ」とは、「いかに勝つかを考え、それを実行に移すこと」です。中長期でプランを建てることが本当は望ましいのですが、たとえ短い渡英の期間であっても、レッスンで軌道修正しつつ、目標を持って個人やカップルで訓練し、鍛えられた精神状態と身体を持って競技当日にベストを尽くしてチャレンジしてほしいと願います。
まずはUK選手権での目標達成への果敢なるチャレンジと今年度の選手諸君の大いなる飛躍を期待します!
Dance Well and The Best Luck !!!
(月刊ダンスビュウ2024年3月号掲載)