花盛り!アマプロ選手権!
ダンス業界も新たな展開を見せ始めています。日本のお稽古事の延長にある演技発表としてのソロデモで華やかにダンスパーティが行なわれていたこれまでのやり方が、ここ数年で大きく様変わりの様相を見せています。それは従来の演技発表のスタイルと同時に、「プロの先生とのカップルでアマプロ競技会に出場するスタイル」に注目が集まっているのです。
ダンスパーティなどで演技発表に出演することを楽しみにされている方はまだたくさんいらっしゃいますが、同時に「ミックスコンペ」とか「トライアル」と呼ばれているアマプロ競技に通じるスタイルのイベントも徐々に広まってきています。
昨年の日本武道館で行なわれた「第44回日本インターナショナル選手権」の初日には、初の試みとしてアマプロ選手権が開催され、出場した皆さんはあの武道館で踊れる喜びを身体いっぱいに表現していました。そして今年の9月2日(土)には、日本ダンス技術検定機構(NDLS)の主催によるアマプロ選手権が、舞浜ヒルトン東京ベイにて
華々しく開催され、本当に多くのエントリーで大いに盛り上がったようです。翌9月3日には、JBDF西部連盟の選手会パーティがアマプロ選手権をメインイベントとして開催され、こちらもたくさんのエントリーを受け、盛大なイベントとなりました。
この流れでわかるように、日本におけるダンス文化の次なる発展の方向性としてこのアマプロ選手権に脚光が寄せられているのは事実なのです。もっとも世界に目を向けてみますと、特にアメリカではアマプロの競技会はかなり以前から盛んに開催されおり、私がまだ競技ダンスの現役時代、マイアミで開催されていた全米オープンでは1週間の大会期間中、午前中から夜のメインイベントが始まる直前までアマプロの競技会が連日繰り広げられていま
した。プロの教師も現役の競技ダンサーたちも皆、この部門に自身の生徒とのカップルで出場し、現役の選手にしても自身のプロの競技の直前までアマプロ部門に出場していたのです。
しかも、合衆国各州で行なわれているアマプロ競技会での年間通算成績で、プロ教師のランキングが発表されるシステムがあるのだと聞いたことがあります。プロとしてもそのようなランキング制度があるのですから、うかうかしてはおれません。自身のランキングを上げるためにも日々のレッスンや練習にも熱が入ろうというものです。
日本のダンス文化の定着に貢献してきたメダルテストやパーティなどでの演技発表も、日本での生活や風習に馴染んだものですから、多少のスタイルの変化はあっても、これからもまだまだ中心的な意味合いを持つものだと思いますが、このアマプロの競技スタイルは、日本ダンス界の新たな発展の方向性を示唆しているものだと思います。現役の競技ダンサーも現役を引退したOB OGの教師も皆が出場し、チャレンジできる場でもあるアマプロ選手権は、今後ますますその比重が大きくなっていくことでしょう。
そしてアマプロ選手権は今や世界的な流れとなっており、英国最高峰の「ブラックプールダンスフェスティバル」でもすでに正式種目として取り入れられているのです。アメリカはもとより香港やシンガポール、オーストラリアなどからもエントリーが集まり、あのウィンターガーデンのエンプレスボールルームで、あのオーケストラの生演奏で競われるようになっています。来年の全英選手権も従来の1週間の大会期間が2週間近くに拡大さ、その前半戦はアマプロ選手権、アメリカンスムースなどの競技として開催されることになっています。日本からもこの大会に出場したいと思われている方もいらっしゃるのかもしれません。
演技発表という目標とも少し趣を異にするアマプロ競技。勝負に挑むという明らかな目標を持ってレッスンや練習に励み、実際の競技に出場し、緊張の中で予選を勝ち抜いていく経験は、インプルーブ(成長)のための最高の舞台となります。この競技を通じてまた新たなダンスの喜びを発見することでしょう。
生き生きとしたダンスライフを楽しむその背景に、アマプロ競技は演技発表と共に、なくてはならないものになっていくこと請け合いです!
(月刊ダンスビュウ2023年11月号掲載)