日本インターナショナルダンス選手権大会
2023年も7月下旬を迎え、いよいよ暑い暑い夏本番に突入です。今年は就寝時の熱中症に注意をしなければならないほどの厳しい夏なのだとか。こまめな水分補給と上手な冷房の利用など熱中症対策が叫ばれています。ダンスのレッスンや練習の際も十分に気をつけていただきたいと思います。
さて、先月はJBDF主催「第44回日本インターナショナルダンス選手権大会」が有明コロシアムを会場に開催されました。WDCワールドスーパーシリーズの一つとして、海外からマーカスヒルトンMBE氏、ハネス・エムリッヒ氏、キャロル・パウエル女史ら6名の審査員、そして海外招待選手、自費参加の外国人カップルも加わり、国際大会にふさわしく華やかに開催されました。
これまで日本の国際大会といえば、日本武道館での開催が当たり前のように思っており、正直言いますと、当初は日本武道館でないことを残念に思う瞬間もありました。しかし、この会場変更の決定は「新たな日本ダンス界の幕開け」にシフトしたと見ることもできるのです。
東京オリンピック・パラリンピックのテニスのセンターコートとして利用された会場であり、他にもバレーボール、バスケットボールなどの国際大会、プロレスやコンサート会場としても利用されているのです。この会場でダンスの国際大会を開催したことは、今後のダンス界のことを考えると、ある意味「英断」であると評価されるのではないでしょうか。海外からの審査員の面々もこの会場の素晴らしさ、オーガナイズの素晴らしさを賞賛していました。来年の45回大会も有明コロシアムでの開催となるとのこと。日本ダンス界の新たな歴史が再び刻まれ始めたと言って良いでしょう。
今年の大会ではプロラテンに173組、プロスタンダードは200組。アマラテン71組、スタンダード73組の出場があり、シニア、ジュニア、ジュブナイルを合わせると689組の出場。海外からの積極的なエントリーもあり、日本選手たちもこの国際大会で大いに気を吐き素晴らしいバトルを繰り広げてくれました。
プロラテンでは全英チャンピオンのドーリン&マリーナ組。パワー、スピード、カップルバランスの素晴らしさを発揮し、貫禄の存在感で優勝。準優勝にはフィンランドのヤーク&ティーナ組、最近世界レベルでメキメキと実力アップさせてきている野村直人・山﨑かりん組が3位と続きました。 スタンダードでは今年の全英3位のエルダー&アンナ組が別格のダンスで圧勝。ウクライナのディマ&アンナ組との接戦を制した橋本 剛・恩田恵子組が準優勝に輝きました。
この日本インターの特徴の一つに、決勝進出者によるベーシック規定フィガーのソロ競技があります。今年の種目はラテンがサンバ、スタンダードがタンゴで、それぞれのファイナリストが繰り出すパワフルで美しいベーシックフィガーのこなし方は流石と言えるものばかり。厳しい予選を勝ち抜いた選手ならではの迫力あるパフォーマンスに、会場の観客は熱い視線を送っていました。
そして今年は名古屋、北海道、大阪、九州の4つの地方インターも全て開催されました。地方インターが全て開催されたのは実に4年ぶりのこと。全ての大会に出場した選手も結構いたようで、競技に集中できる環境の中、踊れる喜びを満喫したインターシリーズだったのではないでしょうか。
私が「新たなダンス界の幕開け」と感じる背景には、JBDFが世界組織の一員として責任ある決断をしたことがその理由として挙げられるでしょう。日本インターがWDCのワールドスーパーシリーズの一つに認定されたのは昨年のことで、さらに今年、2025年にJBDF主催でスタンダードとラテン両部門の「WDC世界選手権」が開催されることが承認、決定されたのです。両部門開催というとてつもなく責任のある決断をした以上、その成功に向けて万全の体制で臨んでいかなくてはなりません。
もちろん同時に、日本選手の強化プログラムも進行しなければなりません。世界選手権での日本人カップル・ファイナリストの誕生に向けて、選手、コーチャー、組織も、そしてダンスに携わる全ての総力を結集し、大成功に向け進んでいこうではありませんか!
ファイナルでの「From Japan !」のコールを叶えるためにも! ! !
(月刊ダンスビュウ2023年9月号掲載)