夢に向かって!
2023年3月13日。ようやくマスクの着用も個々の判断に任せるというところまでに緩和されました。しかし、予想された通り、マスクの着脱は皆さん様子見のスタートで、実際にはマスク生活を続ける人がほとんどというのが現実のようです。政府がその指針を示したとしても一気に方向転換をしないのも日本人の国民性を表しているとも言えますが、それよりも花粉の飛散が例年以上で、マスクを外せない方が多いのも事実です。何はともあれ、マスクをせずに快適に暮らせる、気持ちよくダンスができる方向性にあることをまずは喜ぼうではありませんか。
というわけで、ダンス界も2月26日の「アジアオープン」から3月4日・5日の「スーパージャパンカップ」、3月12日の「ユニバーサルグランプリ」と各団体のビッグコンペが無事開催され、応援する観客の皆さんも大いに盛り上がりました。3月18日には今年15回を数える「学連OBOG競技会」も昨年以上に盛り上がる大会となり、踊れる喜びを身体いっぱいに表していました。
この春シーズンは、各地で競技会やパーティが開催され、桜のシーズン到来を祝福するかのような賑わいを見せることでしょう。パーティにおいてもダンスタイムが復活していく流れにあり、コロナ前の賑やかさを取り戻していくのではないでしょうか。
また、海外との交流もますます盛んになる方向にあり、4月9日には台北で「ワールドカップ」と銘打った競技会が開催されます。地元台湾の選手をはじめ、アジアで活動している世界のトップクラスも参加するこの大会は、日本からのエントリーも多く、審査員も世界レベルのジャッジが多数招聘。日本からは金光進陪氏と私の2名が参加することになっています。
そしてあっという間に季節は移っていき、英国でのビッグコンペが5月の初旬から開催されることに合わせて、コロナ前とは少し趣の違う海外遠征のプランを組むことになりそうです。ゴールデンウィークあたりで英国や欧米のダンスの盛んなエリアへ飛ぶ日本人選手は増えていくことでしょう。
まずは5月4日から8日まで「The Open Worlds 2023 」という競技会が英国ブラックプールのタワーボールルームで開催されます。主催は元世界ラテンファイナリストのポール・キリック氏で、実に多くのセクションが設けられており、日本からも今年は多くの選手が出場すると思われます。ジャッジも世界から多く招かれており、日本からも9名の審査員が各セクションに別れて審査を担当します。5月9日は同じ会場で「WDOプロラテン世界選手権」が開催され、日本からは山本英美氏がジャッジとして参加します。そしてさらに5月26日から6月2日までは本家本元の「全英選手権」がブラックプール・ウィンターガーデンのエンプレスボールルームで開催されます。
世界から集結したダンサーたちは約1カ月間レッスンと練習に明け暮れ、世界のレベルがさらに上がるシーズンを迎えることになります。チャレンジャーとしても世界のダンスを肌で感じ、コンペでの駆け引きの感覚を取り戻しつつ、自らを鍛えていく絶好の機会です。世界にしっかりと目を向けて、世界の素晴らしいダンス仲間と共に、生き生きとダンスに取り組んでいってほしいものです。
日本国内では、特にプロの立場となると、まだまだ諸手を挙げて全てフリーとはいかないのは事実で、組織には組織のルールもあります。統一に向けた動きが加速することを期待する一人ではありますが、日競連が分裂して以来、長い年月がかかっている現状、問題の解決はそう簡単なことではないと思います。時代が移っていく中で、新しい代へと受け継がれ、考え方や環境は当然変わっていくでしょう。そのタイミングがいつやってくるのか。国内の環境が良くなっていく時期は必ず訪れます。遠い話ではないように私は思います。
選手諸君は自らの夢への挑戦を、世界への挑戦を夢見ながら追い続けてほしいと思います。野球であれサッカーであれ、テニスであれバトミントンであれ、水泳の世界でも日本のアスリートは素晴らしい実績を残しています。日本の社会に明るいニュース、力強く生きる、チャレンジする勇気を与えてくれています。ダンスでもどうか本物を目指し、その夢を追い求め、世界が認める、私たちに夢と希望を与える存在に成長し続けてほしいと願います。
(月刊ダンスビュウ2023年5月号掲載)