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田中英和先生のワールドダンス

コラム&本誌企画

師走です! ダンスは最高!

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「光陰矢のごとし」と、年々実感として痛切に感じるようになってきました。この秋、各地で開催された競技会シーズンもいよいよ最終段階を迎えています。世の中も気がつけば、「今年の10大ニュース」や「今年を表す漢字一文字」など総決算をする雰囲気になっています。

一方、世界的に見ると、コロナに対しての規制はほとんどの国で撤廃されており、国から国への移動もほぼ自由になっています。この環境の中、世界のダンサーたちは世界各地へコロナ前と同じかそれ以上に動いているのです。情報の面でも、来年1月の「UK選手権」やその前哨戦などを含め、2023年の競技会情報が飛び交い、2月から3月にかけての「アジアオープン」に参加意欲を見せる世界のトップクラスも多く、実に3年ぶりに世界オープンでの開催が決まった台湾「ワールドグランプリ」も話題となっています。この流れに乗って、日本での国際大会も活発に開催されていくことになると思われます。日本の選手も、世界を視野に、積極的にプランを建ててチャレンジしてほしいものです。

ただ、日本国内の状況を見ると、欧米諸国に比べて活発な経済活動が再開しているように見えない現実があります。パンデミックが世界を震撼させた2020年から丸3年の月日が経っても、毎日、新規感染者数が増加しているニュースに戦々恐々とする日々が続いています。「With コロナ」というフレーズすら使われることなく、第8波襲来の懸念が連日報じられているのです。すでに年末恒例の忘年会の是非まで話題に登ってくるほどですから、いやはや困ったものです。自分の判断で物事が決められない日本は、まだまだこのダラダラと自粛傾向が続いていくのでしょう。すっきりとマスクを外してダンス競技会が開催されるのは、いつの事になるのでしょうか。

そんな中、先日とあるテレビ番組で、「このパンデミックの影響は、私たちの筋力低下に著しく影響を及ぼしている」という特集が組まれていました。このパンデミックの期間中に社会生活が様変わりしたことで、新たな問題が浮き彫りになっているようです。感染予防のために外出制限がなされ、家の中で運動をしない時間が長く、テレワークなどの自宅で仕事をする環境も、筋力の低下を引き起こしているのだそうです。

具体的には、家の中のちょっとした段差につまずいて転倒したり、階段の上り下りで息が切れたり、握力が低下して瓶の蓋を開けられなくなったりと、明らかな筋力低下が見られるとのこと。番組では筋力低下を克服する体操などが紹介されていましたが、日頃からダンスを愛する私たちからすると、ダンスがどれほど自分たちの健康維持に貢献しているか、改めて実感した瞬間でもありました。

女性はハイヒールを履き、その足を使って姿勢を良くし、フィガーを覚えて自身の重心を移動させ、足を振り、足裏を感じて体重をキャッチし、上下動を加え、バランスをとりつつ加減速をする。一緒に踊る相手との距離を考え、内回り外回りの会話をしつつ音楽のリズムとテンポの中で一つのハーモニーを奏でる。男性もフィガーを覚え、フットワークを持って女性にリードを加え、女性のバランスとシェイプに責任を持ちつつ自身の姿勢を保ち、自身の進む空間に向かってCBMやドライブなどの動作でパートナーとのムーブメントの一体感を味わう。こんな美しいスタイルを持ちながら自身の健康に役立つものがあるでしょうか。

ダンスがもたらす快適な環境が、日本国民の健康増進に大いなる貢献をするのは疑いようのない事実です。文科省や厚労省など省庁を上げてサポートしていただき、テレビの特番でもっと大きく取り上げていただきたいと思ったほどです。

以前、私たちのダンスは「認知症予防に素晴らしい効果がある」と伺ったことがありますし、「ダンスは子供たちの情操教育に効果がある」とも言われます。

そうです。今こそ改めて「私たちのダンスが素晴らしい!」と声高らかに、自信を持って世にアピールすべき時なのです!ダンスの素晴らしさを伝えるためのイベントを開催し、それをインターネットやマスコミなどの媒体でどんどん発信していく姿勢が大事だと思います。具体的な競技会であったり、講習会であったり、書籍であったり、ステージでのショーケースであったりと、様々なことが考えられると思います。今から継続的に啓蒙活動を続けていくことで、社会に再評価されていくのではないでしょうか。

(月刊ダンスビュウ2023年1月号掲載)

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プロフィール

  • 田中 英和

    生年月日:8月9日
    出身:広島県広島市出身
    経歴:1997年2月にアデール・プレストン選手とカップルを組み、5月の全英選手権で日本選手初の第3位表彰台に輝く。「ヒデ&アデール」の愛称で国内外の大会で活躍し、翌98年の全英選手権5位入賞を最後に現役を引退。以降、審査員、コーチャーとして後進の育成にあたっている。また、本誌でも、7年にわたって連載レッスン「ナチュラル・ダンシング」シリーズを執筆し、大好評を博した。
    田中英和ダンスワールド

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