2021年、どんな年になるのでしょう
Go To キャンペーンで沸いた2020年後半の日本でしたが、そのツケが大きくなって年明けの日本を襲っているかのようです。新年の挨拶も、緊急事態宣言が出されるような現状を見れば、なんだか虚しく聞こえてしまいます。
そんな中、昨年11月3日に開催された「バルカーカップ」の模様が、1月11日にテレビ東京/テレビ大阪で放映されました。しばらく地上波でダンス競技会が放送されていなかったのですから、ダンスに携わる者としては本当に嬉しいことです。ダンスというものはとても華やかで、心を温かくするものですし、生きていく上での喜び、生きがいでもあります。愛好家の皆さんも、改めてその素晴らしさを実感されたことでしょう。
非常に厳しい生活が強いられている中、私たちの日常のダンスはどうだったかと言うと、こんな状況にありながら、秋から年末にかけて無観客でのオンライン競技会や、万全の感染予防を施しながらパーティを開催してきました。幸いにも、ダンス競技会やダンスパーティでクラスターが起きた話は聞きません。新型コロナ対策をしっかり理解し、皆で相当な注意を払って成功をもたらしたことは、誇らしいことだと思います。
しかし、現在の第3波の影響による緊急事態宣言下では、さすがに競技会やパーティを開催することは控えた方が賢明でしょう。この状況を素直に受け止め、今が最悪であって、今の我慢が今後の明るい未来に繋がることを信じて、活発な行動を控えなければなりません。
ところが、こんな環境下にあってもコロナとは関係なく動き続けているものがあります。それは「政治」と呼ばれるものです。コロナが収束した後のV字回復を見越した動きがあるのは日本の政治も、ダンス界の政治も同じです。これまでよりもっと開かれたダンスの姿を追い求めようとする動きが、世界で、そして日本でも表面化してきたところです。
世界のプロのダンス界はWDC(世界ダンス議会)とWDSF-PD(世界ダンススポーツ連盟)の2つでしたが、アマチュアの世界ではWDSFが席巻してきたのが現状です。WDCサイドでもWDC /AL(アマチュアリーグ)という名で世界大会が開催されてきましたが、より開かれたアマチュア世界大会を開こうとWDO(世界ダンスオーガナイザーズ)が2年前に立ちたがったのです。これに賛同する世界の著名なコーチャーやジャッジの面々がサポートし始めたことを受け、近い将来、WDOはアマチュアセクションだけでなく、プロの世界選手権をも開催する意向を持ち始めたと聞きます。
長年世界の流れを見て感じることは、国や地域それぞれでダンス界発展のために努力する傾向がありました。従来のWDCとWDSFとの軋轢もその一つの現れなのでしょう。そして今回のWDOの発足も、これまでのWDC /ALのあり方などについて主義主張の違いがあってのこと。良いところも改善が必要なところもあるはずですが、何年もの間、一つの組織の中でその折り合いが取れない状態が続いたことで、こういった事態が生じてしまったと言わざるを得ません。
このWDCとWDOの世界戦争の流れは、日本にも大きく影響を及ぼしています。昨年末、JDC(日本ダンス議会)はWDOへの加盟を決議し、WDCの日本のメンバーボディであるNDC for Japanから外れているのです。
日本のプロ団体がWDCサイドで歩調を合わせ、バルカーカップで一堂に会するなど、良い方向に進んでいたのですが、今回のJDCのWDO加盟という状況を考えると、今年は「これまでと同じ条件で、これまで以上に盛り上がる統一全日本選手権を開催することはできない」ことを意味します。国内のプロ選手には、また厳しくも悲しい事態となってしまったのは疑いようのないことです。
こんなコロナで酷いことになっているときにわざわざこんな状況を作らなくても、と思ってしまいますが、そうであるなら、日本は日本、世界の軋轢とは別に国内の統一チャンピオンを決する競技会を模索する動きがあってもよいと思います。世界の大きな流れに抗うことはできませんが、主義主張の違いから来る政治的な軋轢に翻弄されることなく、選手とともに建設的な話し合いのもと、最良の解決策が見出されるよう努力しなければならないのではないでしょうか。