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ダンスビュウ2024年9月号 映像レッスン(特別付録DVD収録)のご紹介

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ダンスビュウ2024年9月号(7月26日[木]発売)で、特別付録DVDに収録している映像レッスンは、元全日本ラテングランドファイナリストで元全日本10ダンスファイナリストの安東寿展(よしひろ)先生が講師を務めます。

安東寿展先生の映像レッスンは、2023年11月号の「大人の社交ダンス~社交ダンスの原点を見直す~」以来となります。

テーマはズバリ「一生、ダンス!」。加齢による身体の変化を楽しみ、生涯踊り続ける方法をレクチャーします。ダンス愛好家の方々からの質問に答える形式で、身体を傷めずに、美しく快適に踊るためのアイディアを公開。長年の指導経験をベースに無理のない踊り方を語る、安東節をお楽しみください。

今月の動画レッスンの題目は「一生、ダンス! ~エンジョイ・エイジングの実践」。講師は安東展寿先生。アラ還(60歳~)以上のダンス愛好家を想定し、動きにくくなった身体をどう操るのか、どういう心構えで踊るのがいいのか、ということをテーマにレッスンを展開しています。愛好家の質問に対して回答する形式で構成されていて、特に60歳以上の男性にとって参考になる講義だと思います。

「一生、ダンス!」は、ズバリ、ダンスファンの本音でしょう。身体が動くまで生涯元気に踊っていたい、という願いです。そのためには、年齢に応じた踊り方を身につける必要があります。自分の身体の動きの範囲を踏まえ、無理のない踊りをしよう…、それが長くダンスを楽しむための秘訣です、という提案です。

そして安東先生は、若手プロと自分の身体の可動域の違いを、エクササイズを使って比較しながら、よく見かける、イタイおじさん(競技スタイルを無理に真似た方)を演じています。そしてイタイおじさんを批評しつつ、身体に負荷のかかりにくい、自他ともに踊りやすい方法を紹介しています。この辺りの演技は絶妙に面白く、筆者(還暦+α)は、“全く、その通りだな”と感じました。

動画の中で安東先生が直接語っていることではありませんが(以下、筆者個人の推論です)、裏返して深読みすると、ダンスインストラクターの指導方法に対する提案も含んでいるように思います。

一般的には、ダンスの先生は、生徒よりずっと若いケースが多いですよね。親子ほど年齢差がある場合はざらでしょう。例えば、教師が20代~30代の場合、生徒が40代~50代の前半であれば、ある程度、教師は生徒の身体能力を想像できるでしょう。しかし、生徒が60代~70代であれば、20代の先生は、実際のところ全く相手の実感を分からない、と言ってもいいと思います(分かるはずはない)。

ですから若い先生が、自分の競技的なスタイルを物差しとして「このぐらいできるだろう」と簡単に教えると、年配の方の身体には、想像以上の負荷がかかっていることがあると思います。一方、習う側は「先生の期待に応えたい」という気持ちが強く、無理に形を作るケースがあります。その場ではOKが出て、問題がないように見えても、無理が積み重なると、後で怪我をしたりするケースもあるでしょう(もちろん、ケースバイケースです。“このくらい”ができる人、自ら望む人もいるでしょうから、一概に、良し悪しを言っているわけではありません)。

まあ、こういう話は、一般的にはほぼ語られません。

ただ競技スタイルは、習う側が相当な筋力と最低限の柔軟性を備えていないと、具現できないことが事実です。一つのステップでどこまで身体を使うか、閾値を探りながら踊ることが、教える側、習う側双方に求められると思います。

それはさておき、加齢とは何でしょう。一般的には、“喪失”の体験です。昨年できたことが、今年はできない、昨日までやっていたことが、今日はやれなくなっていた…。還暦を過ぎると、日常のそこかしこで、“小さな喪失”を味わうことになります。身体の機能の喪失は、同時に自信の喪失にもつながります。

そして加齢はダンスにどのように影響するのか、以下に筆者の体験を述べてみます。

筆者は、24歳でダンスを始めて習い続け、現在は還暦を過ぎた年齢です。20代の頃と現在の自分を比べると、身体の機能は、おおよそ7割位になっています。持久力や筋力、柔軟性、関節の可動域、音に対する反応、踊り続ける集中力など、ダンスに必要な身体能力は、はっきり落ちています。

一方向上しているのは、相手の動きを感じる力と、進行方向を決めるときの判断、状況に応じたステップの組み合わせ方、他人との距離の取り方、相手が進む空間や動線の作り方、そして全体のイメージです。動く能力自体は落ちているが、フロアにおける状況判断と運転技術は伸びている。身体機能のマイナスを補うべく、手持ちの駒をかき集めて踊っている、というのが実感です。少ない身体資源を“かき集める”というのも、踊る力のひとつで、年をとってもスムーズに踊り続ける人たちは、こういう、見えない力を備えています。これぞ、社交ダンスの醍醐味かな、と勝手に思っています。

何が言いたいのか。つまりダンスというのは、数値で測れる身体機能だけではなく、もっと総合的な、諸々の能力の動員によって成り立つ運動だということです。それを身体で実感したのは、筆者の場合は50代の半ば、怪我を重ねて、初老の入り口に立った時期でした。

動かない身体をどう操るか…、色々と試行錯誤をしていた筆者にとって、ダンスとは、20代の初心者の頃、微かに予感した以上に、はるかに深い、泉のようなものでした。勝ち負けや、上手い下手では語れない、ダンスという泉。長く続けなければ、知りえない身体の働きの不思議さを体験しました。

最後に、安東先生のお言葉をお借りします。一生、ダンス!

■月刊ダンスビュウ2024年9月号 映像レッスン(特別付録DVD収録)のご紹介

(文・ダンスビュウDVD制作担当)

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