特別公開!〈社交ダンスプレイガイド〉第8回[ “アニメーション”で観る!]by Audrey宮川祐也
「観て」&「踊って」楽しめる〈社交ダンスプレイガイド〉
プロダンサーが社交ダンスシーンのモーションキャプチャに参加!
TEXT:Audrey宮川祐也(YUYA MIYAKAWA)
社交ダンス・プロデューサー小鳥翔太として活動。昨年、競技引退し本名で活動することに。
Audreyとしての活動は10年を超える“社交ダンス界の仕掛け人”。http://www.audrey.co.jp
連載第8回[ “アニメーション”で観る!]
テレビ番組を見ていて思いがけず社交ダンスのシーンが出てくると嬉しいですよね。私もこれまで「金スマ」(TBS)、連続テレビ小説「エール」(NHK)、「SUPER RICH」(フジテレビ)、「木曜8時のコンサート」(テレビ東京)など、さまざまなテレビ番組のダンスシーンに関わらせていただきましたが、今回はアニメーション作品のダンスシーン制作についてピックアップしたいと思います。
毎週土曜日25:00から、「ティアムーン帝国物語」というアニメ番組がTOKYO MXほかにて放送されています。
主人公であるお姫様がタイムリープして活躍するという本作品。お話の中にダンスパーティのシーンがあり、モデルとして協力をさせていただきました。
これまでにもダンスの振り付けやモデルなどを担当したことはあったのですが、本作で大きく異なっていたのは「モーションキャプチャ」という技術を利用して自分たちが踊ったデータをそのままアニメーションにするというシステムでした。
さらに今回は日本初となる全方位型のモーションキャプチャ、3Dイメージング技術「ボリュメトリックビデオ/VR」を取り入れ、これまでにない滑らかでリアルな映像を作り出すことに挑戦しています。
実はこれまで、ダンスシーン、特に社交ダンスなどのペアダンスについてはアニメーションにするのが特に難しいとされていました。というのも、社交ダンスを経験したことがない一般の方々からするとペアの動きが複雑で、二人の関係を理解してアニメーションに描き起こすこと自体にとても労力がかかるのです。
しかし、今回の「ボリュメトリックビデオ/VR」では上下左右の全方位から撮影が行なわれるため、たった一度の撮影で360度どの角度からでも自由に動かせるアニメーションのデータを作成することができるのです。さらに、モデルにセンサーを取り付けることなく実際の衣装を着用して撮影できるという利点もあり、ドレスや燕尾の流れまで完璧に再現することが可能となりました。
そして、私たちの撮影データが使用された舞踏会シーンのある第4話「シャルウィーダンス?」は好評を博し、ダンスシーンにかける製作陣の素晴らしさが話題となっていました。私たちも実際のアニメ映像を観ましたが、驚くほどスムーズかつ繊細な描写に感動しました。
こうした手法が浸透し主流になっていくことで、アニメーションの現場でもダンスシーンがより取り入れやすくなってくるのではと感じています。
そしてこのようなきっかけを活かして、少しでもダンスシーンを目にする機会が増えるようダンス界サイドからも積極的に働きかけていこうと思います。(宮川祐也)
©餅月望・TOブックス/ティアムーン帝国物語製作委員会2023 https://tearmoon-pr.com/