アイスダンスの競技会「上野芝杯」が京都で開催[関西TOPICS]
※本記事は月刊ダンスビュウ2023年5月号(3/27発売)の80頁に掲載しています。
2023年2月25日(土)、京都府、京都市両スケート連盟主管によるアイスダンスの大会「アイスダンス・マスターズ第15回上野芝杯」が、京都市西京区にある京都アクアリーナで開催され、関西各地域からアイスダンスの選手が集まり技を競い合った。
アイスダンスは、フィギュアスケート競技のひとつで一組の男女があらかじめ指定された規定ステップパターンを滑走し、ステップワークやリフト等で得点を競うもの。基本的に男女が離れて演技することやソロスピン、1回転半を超えるジャンプ、パートナーを肩より上に持ち上げるリフトなどが禁止されており、規定ステップには、フォックストロット、ヴェニーズワルツ、クイックステップ、タンゴ、パソドブレ、ルンバ、ブルースなど社交ダンスと同じものがあることから「氷上の社交ダンス」とも呼ばれている。
しかし、国際大会や冬季オリンピックなどでは入賞者のフリー演技とエキシビションしか放映されることがなく、「我々の社交ダンスとはイメージが違うように思う」と言うダンス愛好家の方々も多いかもしれない。そんなダンス愛好家の方々に観戦してほしいのが、社交ダンスに最も近いパターンダンス部門も開催される「上野芝杯」である。
実行委員会代表の加藤裕子さんに話を伺うと、「年間に開催されるアイスダンス主体の大会は、シングルやペアに比べて圧倒的に少ないです。そのため、競技体験がほとんどない状態で全国大会に臨まなければならないことも多々ありました。そうした状況を少しでも打開したい、という思いでスケート連盟の協力を仰ぎアイスダンスの関西大会を企画したのです」とのこと。第1回大会の会場となった上野芝スケートリンクの名前を大会名にし、毎年、本番練習を兼ね全日本学生選手権直前の11月に開催。そして今回、会場の都合により開催時期が2月になったものの「上野芝杯」は第15回を迎えることとなった。そして加藤さんは「ダンス愛好家の方々はあまり気づいていないと思いますが、アイスダンスの選手が社交ダンスのレッスンを受けたり、フリー演技の振付のアドバイスを社交ダンスのプロにお願したり、社交ダンスとアイスダンスの交流は一般的に行なわれています。スケートの技術があっても、ルンバ、フォックストロット、ヴェニーズワルツがどういう踊りか分からなければ表現することができませんから。社交ダンスを体験することでアイスダンスのパフォーマンスは大きく向上するのです。そして、私がダンス愛好家の方たちに是非見ていただきたいのが、今行なわれている、閉会前のセッションと呼ばれるプログラムです」と話してくれた。
その言葉に促されリンクを見ると、出場していた選手たちが音楽毎にパートナーをチェンジして楽しんでいる光景があった。それぞれの種目で規定のステップパターンが決まっているアイスダンスだからこそできる楽しみ方、それは氷と床の違いこそあれ、社交ダンス愛好家の皆さんがダンスタイムを楽しんでいる風景と全く同じであった。「第15回上野芝杯」は、アイスダンスをダンス仲間として身近に感じさせてくれた。
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